絶品グルメ 〜キムチ・プルコギだけじゃない韓国料理の奥深さ〜
はじめに:韓国料理の”奥深さ”に触れる旅
「韓国料理といえば?」と聞かれて、キムチ、プルコギ、ビビンバ、チゲ鍋…そんな定番メニューを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、韓国語を学び、韓国ドラマを愛し、実際に韓国を何度も訪れている「韓国好きアジョシ」として断言します。韓国料理の世界は、私たちが知っている以上に深く、豊かで、驚きに満ちているのです。
今回は、日本ではまだあまり知られていない”珍韓国料理”10選をご紹介します。これらの料理を知ることで、韓国の食文化への理解がより深まり、きっと韓国という国そのものへの愛着も増すはずです。
- 珍韓国料理10選 – 知られざる絶品の世界
- 韓国ドラマとのリンク – 料理で深まる韓国理解
- 日本で食べられる店・再現レシピ紹介
- まとめ:食文化から見える韓国の”整え”哲学
珍韓国料理10選 – 知られざる絶品の世界
1. チュオタン(추어탕)- 韓国版”命のスープ”
料理概要
ドジョウをすり潰して煮込んだスープで、韓国語でチュオ(추어・鰍魚)が「ドジョウ」、タン(탕)が「汁、鍋、スープ」という意味です。
文化的背景と歴史
最初の記録は1123年、睿宗の弔意のため高麗を訪問した北宋の使臣徐兢が記した『高麗図経』に登場するほど歴史の古い料理です。
栄養価と効能
ドジョウはたんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミンA・B・Dなどを豊富に含む栄養食材で、しかも低カロリー。ドジョウ1匹がウナギ1匹と同じ栄養価があるという驚きの食材です。
味の特徴
唐辛子とか入れなければ、全然辛くありません。栄養が豊富というせいもあるせいか、何だか、五臓六腑に染み渡る美味しさがあります。

アジョシの体験談
初めて食べた時は正直、見た目に戸惑いました。しかし、一口飲んでみると、その深いコクと優しい味わいに驚愕。体の奥底から温まる感覚は、まさに「薬食同源」の韓国料理の神髄を感じました。
韓国ドラマでの登場
『賢い医師生活』では、疲れた医師たちがチュオタンで体力回復するシーンが印象的でした。
2. コングクス(콩국수)- 夏の豆乳冷麺
料理概要
冷たい豆乳スープに麺を入れた料理で、暑い夏の日に体を冷やし、栄養も摂れる料理です。コン(콩)は豆、ククス(국수)は麺を意味します。

引用元:blog.naver.com
文化的特徴
日本の夏の風物詩が「冷やし中華はじめました」だとすると、韓国では「コングクスはじめました(콩국수 개시)」という表現があるほど、夏の代名詞的な料理です。
地域による違い
全羅道ではコンムルグㇰス(コンムルは豆乳)とも呼ばれ、塩味ではなく砂糖味にする風習があります。
味の特徴
豆の風味を生かすために味付けはせず、食べるときに塩や砂糖で味を調える、まさに素材の味を活かした料理です。
アジョシの体験談
ソウル市庁エリアの老舗で初めて食べたコングクス。最初は「豆乳に麺?」と疑問でしたが、香ばしい大豆の風味と冷たいスープの組み合わせが絶妙でした。自分で塩や砂糖で味を調整するのも楽しい体験でした。
3. ホバクジョン(호박전)- 宮廷料理風ズッキーニ焼き
料理概要
ズッキーニを薄くスライスして卵液につけ、フライパンで焼いた黄金色の美しい一品。韓国語で「ホバク(호박)」はかぼちゃ・ズッキーニ、「ジョン(전)」は焼き物を意味します。

引用元:blog.naver.com
文化的背景
朝鮮王朝時代の宮廷料理がルーツとされ、特に祭祀や特別な日に作られてきた格式高い料理です。見た目の美しさから「食卓の黄金」とも称されます。
調理の特徴
- 薄くスライスしたズッキーニに軽く塩を振り、水分を抜く
- 卵液に小麦粉を少し混ぜてコーティング
- 弱火でじっくり両面を黄金色に焼く
味の特徴
ズッキーニの自然な甘みと卵のまろやかさが絶妙にマッチ。外はカリッと、中はジューシーな食感が楽しめます。
アジョシの体験談
韓国の友人宅で手作りを頂いた際、あまりの美しさに感動。味も上品で、お酒のおつまみとしても最高でした。日本でも簡単に作れるので、よく家で再現しています。
4. ケランチム(계란찜)- 韓国式茶碗蒸し
料理概要
日本の茶碗蒸しに似ていますが、韓国独特の味付けとふわふわの食感が特徴的な蒸し料理。「ケラン(계란)」は卵、「チム(찜)」は蒸し物を意味します。
日本の茶碗蒸しとの違い
- アミの塩辛(새우젓)を入れることで独特の旨味
- より滑らかでふわふわな食感
- 土鍋で提供されることが多い
- 韓国のりやネギをトッピング
調理の特徴
卵液に昆布だし、アミの塩辛、牛乳を加え、土鍋で蒸し上げる。最後にネギとゴマ油をかけて風味をプラス。
味の特徴
日本の茶碗蒸しよりもクリーミーで、アミの塩辛による海の旨味が印象的。温かくてホッとする味わいです。
アジョシの体験談
初めて食べた時は「茶碗蒸しに似てる」と思いましたが、アミの塩辛の風味が全く違う美味しさを作り出していました。韓国の食堂では定番の副菜として愛されています。
5. チュクミ(쭈꾸미)- イイダコの激辛炒め
料理概要
小さなイイダコを激辛のコチュジャンベースのタレで炒めた、お酒が進む韓国の定番おつまみ。エゴマの葉で包んで食べるのが一般的。
文化的背景
韓国の飲み屋では必ずと言っていいほどあるメニュー。特に男性に人気が高く、焼酎との相性は抜群とされています。
調理の特徴
- イイダコを下処理してぬめりを取る
- コチュジャン、唐辛子粉、ニンニクなどで作った激辛ダレ
- 強火で一気に炒めて水分を飛ばす
- エゴマの葉、キャベツと一緒に提供
味の特徴
激辛だが、イイダコの甘みと旨味が辛さと絶妙にマッチ。エゴマの葉の香りがアクセントになります。
アジョシの体験談
韓国の同僚との飲み会で初体験。あまりの辛さに汗だくになりましたが、クセになる美味しさでした。エゴマの葉で包むと辛さがマイルドになって食べやすくなります。
6. ナッコプセ(낙곱새)- 三種の神器鍋
料理概要
タコ(낙지)、ホルモン(곱창)、エビ(새우)の3つの食材を組み合わせた韓国の人気鍋料理。それぞれの頭文字を取って「ナッコプセ」と名付けられました。
料理の特徴
- 3つの異なる食材の旨味が融合
- 辛いスープベースが一般的
- 最後は白ご飯と混ぜて「ボkkeum밥(チャーハン)」に
- 締めの麺も人気
食べ方の文化
韓国では「締めの食べ方」が重要視され、鍋のスープで作るチャーハンや麺は別の料理として楽しまれます。
味の特徴
タコのコリコリ感、ホルモンのプリプリ感、エビの甘み、それぞれが異なる食感と味わいを楽しめる贅沢な一品。
アジョシの体験談
韓国の若者に人気の店で食べましたが、3つの食材のハーモニーに驚きました。特に締めのチャーハンは絶品で、スープの旨味が凝縮されていました。
7. カンジャンケジャン(간장게장)- 生ガニの醤油漬け
料理概要
新鮮な生のワタリガニを特製醤油ダレに漬け込んだ韓国の高級料理。「カンジャン(간장)」は醤油、「ケジャン(게장)」はカニの塩辛を意味します。
文化的位置づけ
「白いご飯泥棒(밥도둑)」と呼ばれるほど、ご飯が進む料理として有名。韓国人でも好き嫌いが分かれる料理の代表格です。
調理の特徴
- 生きた新鮮なワタリガニを使用
- 醤油、みりん、昆布、唐辛子などで作った特製ダレ
- 数日間漬け込んで味を染み込ませる
- 内子(卵)が入ったメスガニが特に珍重
味の特徴
生ガニの甘みと醤油の深いコクが絶妙。特に内子とご飯の組み合わせは「悪魔的な美味しさ」と表現されます。
アジョシの体験談
ソウルの専門店で恐る恐る初挑戦。生ガニへの抵抗はありましたが、一口食べて衝撃を受けました。内子とご飯の組み合わせは、確かに「ご飯泥棒」の名に相応しい美味しさでした。
8. スンデ(순대)- 韓国式血のソーセージ
料理概要
豚の腸に春雨、豚の血、野菜などを詰めた韓国の伝統的なソーセージ。屋台の定番メニューとしても親しまれています。
歴史と文化
朝鮮王朝時代から続く庶民料理で、特に冬の屋台では温かいスンデが人気。地域によって具材や味付けが異なります。
調理の特徴
- 豚の腸をきれいに洗浄
- 春雨、野菜、豚の血、調味料を混ぜ合わせる
- 腸に詰めてじっくり茹でる
- 輪切りにして提供
味の特徴
見た目はグロテスクですが、味は意外にマイルド。春雨のモチモチ感と豚肉の旨味が楽しめます。
アジョシの体験談
明洞の屋台で初めて食べた時は、正直見た目に驚きました。しかし、味は全く臭みがなく、むしろ優しい味わいでした。韓国の友人曰く「ソーセージの原型」とのことでした。
9. テグタン(대구탕)- タラの栄養満点鍋
料理概要
タラを主役にしたピリ辛スープで、特にタラの白子入りは韓国で朝食としても人気の健康料理。
文化的背景
韓国では朝食にスープを飲む文化があり、テグタンは消化に優しく栄養価が高いため、朝食の定番とされています。
調理の特徴
- 新鮮なタラと白子を使用
- 昆布と干し椎茸でダシを取る
- コチュジャンで辛味を調整
- 豆腐、ネギ、もやしなどの野菜も追加
味の特徴
タラの淡白な味と白子のクリーミーさが絶妙。辛さは控えめで、優しい味わいです。
アジョシの体験談
韓国出張時の朝食で初体験。朝から辛いスープかと思いきや、とても優しい味わいで胃にスッと入りました。白子の濃厚さが印象的でした。
10. パッカルグクス(팥칼국수)- 小豆スープうどん
料理概要
小豆を煮込んだスープにうどんのような麺を入れた、甘さ控えめのおしるこのような料理。地域によって塩味と砂糖味の両方があります。
文化的特徴
韓国の冬至には小豆粥を食べる習慣があり、パッカルグクスもその延長線上にある季節料理です。
調理の特徴
- 小豆をじっくり煮込んでペースト状に
- 手作りのうどんのような太い麺
- 塩で味付けする地域と砂糖で味付けする地域
- 栗やナツメを入れることも
味の特徴
日本人にとっては「おしるこにうどん?」という不思議な組み合わせですが、小豆の自然な甘みと麺の食感が意外にマッチします。
アジョシの体験談
最初は「甘いのかしょっぱいのか分からない」不思議な料理でしたが、食べ進むうちに病みつきに。韓国の食文化の奥深さを感じる一品でした。
韓国ドラマとのリンク – 料理で深まる韓国理解
ドラマに登場する珍料理たち
『私の名前はキム・サムスン』
チュオタンが登場するシーンで、主人公の体力回復を象徴的に表現。韓国の「薬食同源」思想が現れています。
『賢い医師生活』
テグタンを朝食に食べるシーンが多数登場。韓国の朝食文化と健康志向を表しています。
『応答せよ1988』
スンデが屋台で売られているシーンで、1980年代の庶民的な食文化を表現。
ドラマを通して理解する韓国の食文化
韓国ドラマを見ていると、これらの珍しい料理が日常的に登場することに気づきます。それは、韓国の人々にとってこれらの料理が特別なものではなく、生活に根ざした文化の一部だからです。
日本で食べられる店・再現レシピ紹介
東京・新大久保エリア
チュオタン専門店
- 「オンマの家」:本格的なチュオタンが味わえる
- 「明洞一番地」:初心者向けにアレンジされた優しい味
コングクス
- 夏季限定で提供する店舗多数
- 「ユイチョン」:本場の味を再現
まとめ:食文化から見える韓国の”整え”哲学
韓国料理の根底にある思想
今回紹介した珍しい韓国料理には、共通する特徴があります。それは、「薬食同源」 の思想です。
韓国料理はキムチやプルコギだけではありません。今回紹介した珍しい料理たちは、韓国の深い食文化と、食を通じて体を整える古からの知恵を教えてくれます。
若い頃なら「見た目が…」「味が想像できない…」と敬遠していた料理も、40代になった今だからこそ、その文化的背景や健康効果を理解して楽しめるのです。
新しい挑戦は心も体も若返らせる
新しい料理への挑戦は、好奇心を刺激し、脳を活性化させます。それは、私たちアラフィフ世代にとって、とても大切なことなのです。
今度の韓国旅行で挑戦してみませんか?
次回韓国を訪れる際は、定番料理だけでなく、これらの珍しい料理にもぜひ挑戦してみてください。きっと韓国という国への理解と愛情がより深まるはずです。
韓国の食文化は、私たちに「食べることは生きること」そして「生きることは整えること」を教えてくれます。
この記事で紹介した料理の味や食感の表現は、筆者個人の感想です。また、お店の情報は変更される場合がありますので、訪問前にご確認ください。


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